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どこに行こうか
旅の話
的山大島のこと⑦
ここだ! 母の生家のある路地に入ると女性に案内される前にすぐにわかった。 家は確かに変わってしまっていたが、道の突き当りにあるのだ。 そして、左右の風景があのときを思い出させた。 あのときのままだ。懐かしい想いが胸にこみ上げる。 母は喜んでくれているだろうか。...
的山大島のこと⑤
的山大島は素晴らしいところだった。島のいたるところに棚田が広がっていて、真っ青な空の下、風に吹かれて緑の稲がキラキラと揺れている。棚田越しに海も見える。放し飼いのヤギや牛もいる。このような自然の中にいると、不安も安心も過去も未来もなく、ただ今を感じるだけだ。何の考えも頭に浮...
的山大島のこと④
レンタルサイクルの男性は、連れをみるなり、あれ、お二人だったんだねと言った。 JAのことに気をとられて借りる人数を伝え忘れていた。 「そうかあ、どのくらい回るつもり?」 「まずは神浦の方に行って、そのあと島をぐるっと回れればいいかと思ってますが」と答えると、では最初に神浦の...
的山大島のこと③
フェリーを降りるとバスが待っていて、乗船客の半数以上がそのバスに乗り込んでいった。 私達はレンタサイクルを借りようとフェリーを降りて右手にある建物に入り切符売り場の女性に声をかけた。するとそこに連絡してくださいとのことだったので、言われた通り、レンタサイクルの前に貼ってある...
的山大島のこと②
簡単だと思っていた母の故郷への旅は紆余曲折あった。 そもそも、島の名前をきちんと把握していなかった。 平戸からフェリーに乗って大島という名前の島に行ったというのが自分の記憶であったが、インターネットで調べてみると、大島というのは略称だったようで、正式名称は的山大島(あづちお...
的山大島のこと①
昨年母が亡くなった。 母は、長崎県の平戸から一人東京に出て来て働き始め、数年後に結婚したが3人目の子供を授かったあとすぐに離婚となった。 今よりもっと福祉制度は悪かったろうし、近くに頼れる人もない所で、3人の子供を育てるのは大変な苦労であったと思う。考えてみると、子供の頃の...
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