レンタルサイクルの男性は、連れをみるなり、あれ、お二人だったんだねと言った。
JAのことに気をとられて借りる人数を伝え忘れていた。
「そうかあ、どのくらい回るつもり?」
「まずは神浦の方に行って、そのあと島をぐるっと回れればいいかと思ってますが」と答えると、では最初に神浦のJAのところに来て欲しいと言われた。自転車は電動である。人数を告げていなかったので、バッテリーを1人分しか持ってきていなかったのだ。手には2つ持っているのだが、島を回るには予備を入れて1人2つ必要らしい。自転車の鍵の方は壊れていた場合も考えてなのか、フェリー乗り場に置いてある自転車の全ての分を持ってきていたので、とりあえず、バッテリー1つずつを使い2台借り、予備を取りにレンタサイクルの事務所のある神浦の方まで行くことになった。
的山港からJAまではほぼ1本道だからと簡単な説明をしてくれてから、男性は先に原付バイクで戻っていった。
男性を見送ったあと、電動自転車のペダルを踏んでみると、グーンっと勢いよく前に飛び出た。
「うわっ」「うわっ」
私達は二人とも電動自転車のパワーに驚いて声を出す。
一瞬で運転には慣れて走り始めるとすぐに上り坂になったが、電動自動車は何の苦も無く登っていく。
愉快になって、どんどん漕いだ。
車が1台も通らない青々とした緑に囲まれた道を走るのは気持ちがよい。
なんていいところなんだろう。
きっといい旅になると思った。
つづく