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的山大島のこと③

フェリーを降りるとバスが待っていて、乗船客の半数以上がそのバスに乗り込んでいった。

私達はレンタサイクルを借りようとフェリーを降りて右手にある建物に入り切符売り場の女性に声をかけた。するとそこに連絡してくださいとのことだったので、言われた通り、レンタサイクルの前に貼ってあるポスターに書かれた番号に電話をかけた。

「今どこにいますか?」

「港です。」

「港?的山?」

「いえ神浦(コウノウラ)です。」

「え?神浦?それじゃーすぐそばにJAがあるからそこまで来てくれるかな」

「JA?・・わかりました」

電話を切って、連れにJAに来いと言われたと告げるが、JAってどこにあるの?と返される。

確かに、どこに・・・

フェリー乗り場の前は広場になっていてその向こうには山があり、そこに沿うように左右に道が伸びているだけだ。

右手は山の方に向かう道しか見えないし、左手の奥の方には確かに建物はちらほら見えるが、JAと言われても。

切符売り場の女性に声をかけて場所を尋ねるが「JA?この辺にJAなんかあったかしら・・?すみません、わからないですねぇ・・」と言われてしまった。

仕方ないのでもう一度電話をする。

「JAの場所がわからないんですが・・」

「え、神浦にいるんだよね?」

「はい」

「わかんない?じゃー、そっち行くから少し待ってて」

しばらく待っていたが一向に来る様子がないので、もう一度電話をした。

「どこにいるの?神浦?」

「はい、港のところに」

「ほんと?的山じゃないの?」

「的山?いや、神浦です、ここは神浦です」

と、言ったところで、切符売り場の女性が、ここは神浦じゃないですよ!的山港ですよ!と慌てて教えてくれたので、私も慌てて電話口で的山港だったと訂正して、またしばらく港で待つことになった。

待っている間、切符売り場の女性が、神浦にはフェリーが泊まらなくなり、今はこの的山港と平戸の往復の便しかなくなったこと、その為、フェリーが着くころに神浦行きの100円バスが出ることを教えてくれた。神浦の方が人が多く住んでるのに、なんでこんなことになったのかわからないとも付け加えた。

陽がどんどん高くなる中、原付バイクで年配の男性がやってきた。

つづく

的山港フェリー乗り場

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