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ウラジオストクのこと⑫

展望台を後にして、次にブリヌイといういわゆるロシア版クレープを食べに、インターネットの中で紹介されていた店にむかった。ある女の子がブリヌイについておいしそうな記事をあげていたので、とても食べたくなったのだ。

ケーブルカーを使わなくても展望台から町に降りることができるので、今度はに歩いて坂を下る。間違っているのか私有地のような場所に入ってしまったが、その場にいた警備員に特に何も言われなかったので、そのまま通り抜けたら下のメインストリートにたどり着いた。

そこからまたフラフラと歩きながら店を目指す。

ウラジオストクの町は海と山があり坂が多く、日本でいうと長崎のような感じだろうか。建物はヨーロッパ的なレンガ造りのものがあったりするが、なんとなく郷愁を誘う。

私達の旅の好みは、町を眺めたり、地元のスーパーをのぞいたり、屋台で売っているおいしそうなものを食べるような些細なことなので、目的地に着くまでに、こうやって町を歩くこと自体も十分な旅の目的となっている。

展望台から店までは30分以上はある道のりだったので、とても楽しむことが出来た。

店は「Uh Ty Blin」というブリヌイの専門店である。スポーツ湾という海浜公園に向かう遊歩道の脇にあったので、先に少しそちらを見学した後に入った。

お店の中はアジア系の若い女の子がいっぱいいて、言葉を聞いているとどうやら韓国からの観光客のようだ。ウラジオストクはビザの関係で中国や韓国からの観光客が多いのだ。

入り口でほんの少し待ってみたが、店員が席を案内しに来なかったので勝手に座っていいのだろうと、空いていた唯一の席に座った。

注文も取りに来る様子がない。様子をうかがうと、厨房が奥に見えるカウンターのところにメニューが数冊置いてあり、そこで注文を受けて会計も同時にしているようだった。ならばとメニューを借りにいき、席で連れと何を食べようか相談する。

インターネットの中の女の子は、ウラジオストクに滞在中、憑りつかれたように様々なブリヌイを食べていたが、私達がこの店のブリヌイを食べらるのは、今のこの時間だけだ。悔いのないように慎重に考え、二人で3種類食べようということになった。

選んだのはメルトバターと、ハチミツと、チョコバナナだ。それとお茶を注文すると、ほどなくお茶が運ばれてきて、そのあとすぐにバターとハチミツのブリヌイが届き、最後にチョコバナナがやってきた。

まずはハチミツのかかったものを口に運ぶ。確かに美味しい。もちもちの生地にハチミツの癖のある甘さが合わさる。そのあとメルトバターを食べたが、これもまた溶けたバターがブリヌイの生地に絡みつき、生地の甘さがバターの塩味に引きたてられとても美味しかった。

そのあとチョコバナナを食べたのだが、これももちろんおいしかったが、さすがに40代の胃袋には、二人で3つとしても量が多かった。

余分に取りすぎたと思いながら店を出て、次の目的地に向かうことにした。

つづく

町の落書き

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