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ウラジオストクのこと③

部屋で一息ついてから、何もなさそうなこの付近も、きっと少しあるけば何かあるだろうと外に出てみる。

空気はひんやりとして、少し曇ったベニスホテルの外は、何かあると思えるような雰囲気はなかったが

とりあえず右手に行ってみることにした。左手は旧ウラジオストク空港で、正面の方は何か工場的なものがある。右は林と道路が見えるだけである。

しかし道があるのでそちらへ足を向けるとすぐに、あの背の高い彼と出くわした。

すでに付近を散策したらしく、右からまた右に向かったところは、昔カフェらしかったものが

もうつぶれて廃墟になっていたことを撮影してきたデジタルカメラの映像を見せて教えてくれた。

となると、もう進むべき道は、右の左から右の正面しかなく、左は空港へ向かう道だから正面の林道を行ってみようということになり3人で歩き始めた。

時間は午後8時前でまだ明るかったが、見える範囲には何もなく、もし何か見えてくるまで歩くとすると暗くなるなと心中不安はあったが、歩き始めたばかりで、すぐ帰りましょうとも言えずそのまま歩き続けた。

グーグルマップで確認すると、確かに歩いている方向に明日訪れようと思っていたアルチョームの市街地があることはあるのだが、そこにたどり着くまでにはかなりありそうである。

何もない林道を歩いているうちに大きな幹線道路に出た。

そこに出るまでに、自転車に乗った女性2人と林道脇の家の前で男性が土を掘っているのに出くわしたので誰かしら生活している人がいるという安心感を得ていた。

幹線道路もそこそこ車通りがある。

そこを横断して、道のような道でないようなところを右手に進むとお店があった。

お酒とかも売っているような小さなスーパーである。

このもっと先にいくか、このお店を覗いてみるか3人でこそこそしていたら、店の前にたむろっていた男女三人組の男の一人が、何を言っているのか全くわからなかったが中に入れよやってるぜというような素振りを見せたので、とりあえず入ってみることにした。

海外に限らず、日本国内でも旅先のスーパーに入るのはとても面白い。

同じ国内でさえ、ちょっと場所が違うだけで、その地域特有の商品が置いてあるからだ。

なので、海外と言えばなおさら、独特に見えて興味を惹かれる。

とりあえず、水を買おうと思ったが、まずもって、ロシア語表記なので、水なのかわからない。もしかしたらウォッカということだってあるかもしれない。

まあ冷蔵庫の中で、透明の液体であれば大抵は水であるのが普通なので並んだ透明のボトルの類を見てみる。

ロシアは炭酸入りの水も良く売られているとの情報はみてきていたので、おそらく並んだボトルのいくつかはガス入りなのだ。

ガスが入っていても飲めなくはないが、できればガスなしがほしかった。

A始まりの白のラベルと青のラベルのボトルを見つけて、じっと見て考える。これは必ずどちらかがガス入りでどちらかがガスなしだ。考えに考えたすえ、白のラベルがガス無と判断し、購入を決める。

すると、背の高い彼は、では自分は青を買ってみると言ってきた。面白い。ギャンブラーである。

それから、ロシアといえばアイスクリームが有名なので買ってみることにした。

背の高い彼は、銀紙で包まれたチョコがけの棒アイスを買った。

表に出て、ボトルを開ける。白いボトルはガス無であった。

アイスもおいしかった。

背の高い彼は、買ったアイスの銀紙を剥がすと、コーティングされていたはずのチョコレートが全部紙にくっついてとれ、ただのバニラアイスになるというハプニングに見舞わた。

そのおかげで、私達に笑いが起こり、すっかり日が暮れ街灯もほとんどない真っ暗な林道を帰るときの不安な気持ちは半減することができた。

そういえば、スーパーを出るとき、またあの三人組の男が何かを語りかけてきたが全くわからなかった。一体なにを言っていたのだろうか・・

つづく

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