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ウラジオストクのこと⑪

昨日は短いシベリヤ鉄道の旅を終えてホテルにチェックインしてから付近を散策して一日が終わった。

明日は午前中には空港に向かい日本に帰る予定なので、ウラジオストクを巡れるのは今日一日しかない。

昨夜は今日一日なるべく沢山動く計画を練っていたので、7時に朝食を食べたらすぐに外に出た。

数ページの「地球の歩き方」を読むと、それほど規模の大きくないウラジオストクの町にも美術館や水族館などいくつかの観光スポットがあった。その中で、町を一望できるという鷹巣展望台というところに行くことに決めていた。

ウラジオストクはとにかく坂が多い。宿泊しているホテルはびっくりするほど急な坂を登ったところにあり、その坂の入り口にある古い家には放し飼いの犬2匹と猫がいる。昨日写真を撮ったときに、笑みを交わしていたので飼い主の女性とは顔見知りだ。朝もいたので頭を軽くさげ笑顔の挨拶して展望台の近くまで登るケーブルカーの駅を目指す。

ケーブルカーの駅は、あまり人通りがない車がぎっしり止まっている道の途中にあった。

入り口を入ると、ちょうどケーブルカーが出発したところで、早く入れば良かったと思ったら、入れ替わりに上からもう一台のケーブルカーが降りてくるのがすぐに見えた。

料金は一人12ルーブル。入り口にも表示があったが、ケーブルカーの中にも掲示されていた。

私服の女性乗務員にお金を渡し細長い切手のようなチケットをもらう。最初乗客は私達二人だけだったが、席に座って出発を待っている間に数人増えた。私達以外は観光客というよりは、どうも通勤客のような雰囲気だ。

ほんの数分で降車駅についた。

駅を出るとすぐに展望台なのかと思ったら、目の前は広い通りで乗用車やバスが走っている。左手にある少し高いところがおそらく展望台だ。斜め右手にくぼみがあり、そこに円形状の広場が見える。その先に高台に向かう道があるようなので、展望台に行くには広場に行く必要がありそうだ。

駅の右側に階段を見つけたので降りてみるとトンネルがあり広場に繋がっていた。

朝早いからか、高台の方に向かう人が2,3人しかおらず確信がもてなかったが、そのまま進むと到着することが出来た。

展望台には気持ちの良い風が吹いていた。

そしてその眺めは、折角なのでと思って来ただけの所だったが、想像以上のものだった。

旅行前に見ていた写真と同じ景色なのだが、当たり前だが景色の全ては写真の枠には収まらい。

実際その場所に立つと、眼下の金角湾にかかる巨大な橋を渡る車の音がリズムよく聞こえ、時折つよい風が頬にあたり、五感で景色を受けることができる。

本物は、写真よりもずっとダイナミックに見えるのだ。もちろんそういうものだ。

当たり前のことに当たり前に感心しながら、その風景にしばらく釘づけになった。

つづく

坂の入り口の家

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