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ウラジオストクのこと①

私たち二人は、夏に行くところを探していた。

お盆の休みは交通機関も高くなる。なかなか妥当と思える行先が見つからない。

ふとすぐ近くの極東ロシアを思いついた。

インターネットで航空チケットを探すと、手の届く価格のものが見つかった。

JALと共同運航便のS7という航空会社で行くウラジオストクだ。

聞いたこともないロシアの飛行機会社。

どうなんだろうと思ったが、JALと提携しているわけだしと言い聞かせて購入ボタンをクリックした。

ビザも手に入れロシアに向かう為に乗り込んだS7はLCCかと思うくらいの飛行機で、モニターも、イヤホンで音楽が聞けるようなものもないし、座席はヒザが前の席にぴたりとつく。

機内食はパサパサのサンドイッチが出るとインターネットで事前調査済み、その通りのものが出た。

しかし、これはよくあるヨーロッパ系の密度の濃い黒いパンだ。

サンドイッチよりもオープンサンドでいただきたい感じのパンである。

満席の機内を見渡しても、皆心得ているのか平然な表情で完食している人が多かった。

心配をよそに、到着時間より早く着いたウラジオストクの空港は、こじんまりしてはいるが近代的であった。

S7の到着予定時刻は19時10分。両替所は19時まで、ウラジオストク市内までのバスは20時までと聞いていた。入国審査などで時間がかかりバスに間に合わなかったらタクシーに乗らなくてはいけないので、空港近くのホテルに泊まることにしていた。

実際は入国審査は早く終わったので、最終のバスには間に合ったようだった。

頼んでいた送迎の係員はすぐにわかった。

成田で少しの両替はしてきたが、レートが高いこともあり空港に着いたらATMを使おうと思っていた。英語もロシア語もできない私達は、係員に向かって「ATM、ATM」と言ってみる。

怪訝そうな顔をしているので、どうも通じていないらしい。

それでも何度も「ATM、ATM」と言ってみると、送迎員仲間なのか、人待ちをしているらしき男性に私達が何かいっているから聞いてくれと引き合わせた。

しかし、ロシアではATMをATMと言わないのか、その男性は英語と若干の日本語も話せたのだが、

私達が両替をしたいということしかわからず、両替をしたいならホテルで出来るという答えしか得られなかった。しかし出発前に宿泊ホテルに問い合わせたところ、そのホテルでは両替はできないと言われていたのだ。

途方にくれようとしたとき、後ろから「お金をおろすATMならあそこにありますよ」と声が聞こえる。振り返ると背の高い日本人が立っていた。

その人にお礼をいってから、係員には向こうに行くとゼスチャーをしてATMに向かった。

つづく

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