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シェムリアップのこと⑤

この日は日本から日本語ガイド付きの車をチャーターしていた。

シェムリアップの郊外にも遺跡があるのだ。

個人で遠くまで行くのは大変そうだったのと、一回くらいは遺跡の説明を日本語で聞きながら回るのもいいと思ったのだ。

アンコールワットの遺跡群を見るには高いチケット料金を払うのだが、遠くの遺跡に行く途中にもチケット確認ポイントがある。

そのチケット確認ポイントからすぐに遺跡があるわけではなく、そこからずいぶん車で走る。しかもその途中には民家も点在しているので、もし遺跡に行くのではなくて途中の民家を訪れたい人はどうするのか不思議になって聞いてみたら、それはそれで説明すればいいとの話だった。なんとなく不思議なシステムである。

道中ガイドさんと色々話をした。ちょうど選挙の後だったこともあり政治の話にもなったが、やはりどこの国も政治に満足してる人は少ないというのがわかった。自由と平等は勝ち取らないといけないし、保持する努力をしないといけないものなのだなと思う。台湾の首相の「自由は空気のようなもの。それが無くなり窒息した時にはじめて、自由というものの存在を感じ取ることができる」という言葉が心に染みる。

そんな風にガイドさんとのおしゃべりを堪能し、途中でバナナ屋台が連なるところがあり、そこで赤いバナナを買って食べたりしながら遠くの遺跡に到着した。

遺跡はローカルの人がピクニックにくるような場所で、川沿いに東屋が何棟もたっていて、そこに屋台の串焼きなど買って持ち込み食べていたりする。滝もあり水着に着替えて川遊びなどもしている人たちもいて楽しいところだった。

しかしこちらは水着になるつもりもないので、しばらくぶらぶらしてから帰ることになった。

シェムリアップから遺跡に到着するまでの間にヤシ砂糖を製造販売している村があり、行きに気になっていたのでガイドさんに寄ってみたいと話すと、ドライバーさんのお勧めの店でいいかと言われたのでそこに連れていってもらうことにした。

バックマージンでも貰っている店があるのかと思っていたが、ついたところは優しそうなおばあさんと若いかわいらしい女の子だけのお店だった。とても商売人のような風情ではない二人だ。

村のどこの店もそうだが、この店も木の柱と屋根だけの店である。

その屋根のしたの大きな台の上で固めたヤシ砂糖をおばあさんが切り分けている。それを味見させていただく。

黒糖よりもずっとあっさりしていて、しかしコクはあり、優しい味の砂糖だった。おそらく自分は初めてヤシ砂糖を食べたのだが、ヤシ砂糖がこんなにもおいしいものと思わなかった。

お土産にそれと、固めていないタイプのものを買うことにした。300ミリリットルくらい入るケースに入ったもので1ドルであった。現地の価格でいうと高いのかなと思ってしまったのだが、日本に帰って調べてみると500円から高いと1000円以上するような商品で高いと思った自分が恥ずかしくなった。しかも3つ買ったらおまけしてくれたのだ。

私は一人勝ちするような世界が嫌いである。経済というものは難しいから素人には浅い考えしかもてないが、できればウィンウィンでいたい気持ちがある。彼女にとってWINであったら良かったのだが、どうであったのだろうか。

ドライバーさんもいくつか砂糖を買っていた。おそらくこのドライバーさんは彼女のことを気に入っているのだ。

だいぶ年の差があるように感じるので恋心なのかはわからないが、確かに私も一目みて良い雰囲気の女の子だなと思ったのでドライバーさんが心を寄せるのはとてもわかる。彼女がこれからも幸せであればいいなと思った。

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